肥満が引き起こす生活習慣病の中には必ず膵炎が含まれる。
実際、肥満の人の膵炎にかかる確率は高い。
だがそれでも未だはっきりしないのは膵臓という臓器にあるのかもしれない。
膵臓といえば、村上春樹の「ランゲルハンス島の午後」を思い出す。
このランゲルハンス島という島は実際にはない。これは膵臓の一部の名称のこと。
膵臓はその90%が消化酵素を十二指腸に分泌する外分泌腺を占める。
残りの10%はというと、内分泌細胞のかたまりが島のように点在しているのである。
この島こそが「ランゲルハンス島」だ。
臓器にしては随分おしゃれな名称だが、これはその島を発見した医師の名前。
パウル・ランゲルハンス。
ドイツの医師は若くして、その島を発見。
ところがその後結核を患い、僅か40歳でこの世を去った。
結核の療養も兼ね、各地を転々と旅し、その研究は医学だけでなく、海洋生物学、気象学にも及んだ。
だが生涯で彼の残した最大の業績はこの島の発見だった。
彼の発見したランゲルハンス島。
島の数はおよそ20万〜200万個と言われ、それぞれが独立した小さな臓器とも考えられている。それゆえに謎も多いというわけである。
発見はされたが、その数を考えるとまだまだ膵炎にも謎が隠されているように思える。
writing by コタロー